2025.12.18
Research
VIE、自社デバイスを用いたてんかん性放電の検出可能性に関する一報
ウェアラブル脳波計「VIE ZONE」を用いた共同研究の経過が日本臨床神経生理学会にて発表
次世代型ウェアラブル脳波計の開発とニューロテクノロジーの社会実装を行うVIE株式会社は、東京科学大学(Science Tokyo)、新宿神経クリニック含む研究グループとの共同研究において、イヤホン型脳波計(Ear-EEG)を用いた側頭葉てんかんにおける発作間欠期てんかん性放電(IED)の検出感度に関する検証を行い、特定の条件下で医療用頭皮上脳波計(Scalp-EEG)に迫る検出感度を確認したという研究経過を発表いたしました。本研究成果は、2025年11月14日に開催された「第55回日本臨床神経生理学会学術大会」にて発表されました。
研究の背景
てんかんの診断や治療薬の効果判定において、脳波検査は不可欠です。しかし、従来の頭皮上脳波計は、電極装着時に頭部の広範な領域にペーストやジェルの塗布が必要で、準備中の拘束時間が長く装着時の不快感があり、日常生活下での長期間の脳波測定は困難でした。 本研究では、音楽再生機能を持つイヤホン形状で、ジェル不要のドライ電極を採用したウェアラブル脳波計「VIE ZONE」※1を使用して、側頭葉てんかん患者における発作間欠期てんかん性放電(IED)の検出精度を検証しました。
側頭葉てんかん患者10名をリクルートし、臨床で使用される医療用脳波計を使用した脳波計測時に、VIE ZONEでも同時に計測を行いました。データ解析が可能な9名について、医療用脳波計の脳波データに対して脳波解析ソフトウェアで発作間欠期てんかん性放電(IED)の自動判定を行いました。自動判定によって、IEDの可能性が高いと判定された側頭部の波形について、てんかん専門医が①医療用脳波計取得脳波と、②VIE ZONE取得脳波をそれぞれ目視し、明確なIEDと判定した波形の割合を両者で比較しました。
※1:VIE ZONEは研究用脳波計であり、疾患の診断・治療に使用することはできません。
研究の結果
実験の結果、自動判定によりIEDの可能性が高いと判定された波形のうち、目視で明確なIEDと判定された波形の割合は臨床脳波計で74.2%、Ear-EEG(VIE ZONE)で70.8%という結果になりました。また、IEDの優位脳部位別の比較では、外耳道に近い中側頭部において比較的Ear-EEGでの検出率が高い結果でした(図1)。※2
本研究結果は、ウェアラブル耳内脳波計であっても臨床脳波計に劣らないIED検出感度を発揮する可能性を示しており、日常生活におけるてんかんリスクの検出や治療中患者の在宅モニタリング等への発展が期待されます。てんかんの予防・早期介入・治療中のQOL向上に貢献できるよう、更なる研究開発を進めてまいります。
※2:本研究は更なる解析を行っており、検出感度についても追加的な検証を予定しています。最終的には、研究結果の学術雑誌への投稿を予定しております。

図1:IED発生部位別の検出精度
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