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2025.12.11

VIE、周閉経期女性のイライラ感を軽減する 個別脳波対応ニューロミュージックの効果を確認

ウェアラブル脳波計「VIE ZONE」を用いた共同研究の結果を日本女性医学学会学術集会にて発表

次世代型ウェアラブル脳波計の開発とニューロテクノロジーの社会実装を行うVIE株式会社は、東京科学大学病院 周産・女性診療科と共同で、周閉経期女性に生じやすいイライラ感(気分変調)に対し、個人の脳波状態に基づいて最適化されたニューロミュージック(脳波誘導型音楽)が鎮静効果を示す可能性を確認しました。本成果は、2025年11月に行われた日本女性医学学会にて報告されています。

研究の背景

更年期前後の女性は、ホルモンの急激な変化により、イライラ感・情緒不安定・不安などの精神的負担が高まりやすいことが知られています。近年では、こうした症状がホルモンだけでなく、脳の神経活動(特に16–31Hzのβ波)の変調とも関連している可能性が示されています※1。

一方で、薬剤以外のアプローチとして、音刺激による脳波変調が不安や疼痛の軽減に役立つという報告もあり※2、より日常的で負担の少ない介入方法への期待が高まっています。

そこで本研究では、各個人の脳波特性に基づき最適化された音響刺激「ニューロミュージック」※3が、更年期に伴うイライラ感の緩和に寄与するかを探索的に評価しました。

周閉経期の女性3名を対象に、まず被験者に「イライラ」と「リラックス」を交互に想起してもらい、その際の脳波(3〜40Hz)をVIEのウェアラブル型脳波計で計測しました(STEP1)。得られたデータから、各個人がリラックス状態で特異的に増加する周波数帯と、イライラ状態で際立つ周波数帯を抽出し、これらの特徴的な成分を強調するよう加工して「個別ニューロミュージック」を生成しました。

その後、被験者に個別ニューロミュージックを聴いてもらい、聴取中の主観的イライラ度をリアルタイムで計測することで、特定の周波数を含んだ音楽が情緒の立ち上がりにどのような影響を及ぼすのかを検証しました(STEP2)。

※1:Hwang, R.-J., Hsu, H.-C., Ni, L.-F., Chen, H.-J., Lee, Y.-S., & Chuang, Y.-O. (2022). Association between resting-state EEG oscillation and psychometric properties in perimenopausal women. BMC Women’s Health, 22(1), Article 177. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35538572/
※2:Schmid, T., Wirth, M., Wetzstein, H., & Kirchengast, S. (2020). Predictors of irritability symptoms in mildly depressed perimenopausal women. Psychoneuroendocrinology, 122, Article 104886. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33493755/
※3:Yokota, Y., Tanaka, K., Chang, M., Naruse, Y., Imamura, Y., & Fujii, S. (2024). Gamma music: a new acoustic stimulus for gamma-frequency auditory steady-state response. Frontiers in Human Neuroscience, 17, Article 1287018. https://www.frontiersin.org/journals/human-neuroscience/articles/10.3389/fnhum.2023.1287018/full

研究の結果

実験の結果、STEP1では、すべての被験者において「イライラを想起したとき」と「リラックスを想起したとき」の脳波パターンが明確に異なることが確認されました(表1)。特に被験者1および2では、イライラ状態では30Hz以上の高周波帯(β波)が顕著に増加し、逆にリラックス状態ではα帯から低β帯が優勢となるなど、情動状態に応じた特徴的な神経活動が個別に認められました。一方で被験者3では異なるパターンがみられ、更年期に関連する心理症状の背景には個人差が大きい可能性も示唆されました。

STEP1における各被検者のイライラ時・リラックス導入時に増えた周波数(表1)

STEP2では、このように個人ごとの脳波特性をもとに生成したニューロミュージックを提示したところ、2名の被験者でイライラを誘発した際の「イライラ度の立ち上がり」が対照条件と比べて明らかに緩やかになりました(表2)。これは、個別に抽出したリラックス周波数帯を増強する音楽が、感情の高ぶりを抑制する方向に作用した可能性を示しています。また、1名では主観的イライラ度そのものが低下しており、より直接的な鎮静効果を示す結果となりました。

STEP2における音楽再生時の主観的イライラ度(回帰係数*)(表2)

さらに、音楽聴取中のリアルタイムスコアを解析したところ、被験者1ではリラックス周波数を強調した音楽を聴いた際にイライラ度が低下し、個別最適化された音響刺激が感情変動の制御に寄与する可能性が示されました。被験者2では大きな変化はみられなかったものの、被験者3では逆にイライラ度が上昇する結果となり、同じ介入であってもその反応性には個人差が存在することが改めて確認されました(表3)。

音楽聴取中にリアルタイムで記録されたイライラ度のうち、後半30秒間の平均値(スコア0-100)(表3)

 

これらの結果から、個人の脳波パターンに基づいて最適化したニューロミュージックが、更年期に伴うイライラ感や気分変調に対する新しい非薬物的介入手段となり得る可能性が示唆されました。今後は対象者数を拡大し、より精緻なデータに基づく有効性の検証を進めていく予定です。

ニューロミュージックを「VIE Tunes」で体験

本研究で用いられたニューロミュージックは、脳チューニング音楽アプリ「VIE Tunes」でも体験できます。VIE Tunesは、気分・集中・睡眠など、ユーザーが求める状態に合わせて脳波に働きかける音響刺激を提示するアプリで、研究知見に基づいて設計されたニューロミュージックが多数収録されています。

・対応OS: iOS / Android
・価格: 初月無料 / 月額500円
・製品URL: https://vie.style/pages/vie-tunes
・アプリURL: https://apple.co/480jbQL

共同研究パートナーを募集

VIE株式会社は、最先端技術であるニューロテクノロジーを掛け合わせ、新たな可能性を追求しています。研究企画から共同研究開発、サービス開発、事業実装まで、多岐にわたるフェーズやテーマでの共同研究を歓迎しておりますので気軽にお声がけください。

・お問い合わせ先:info@vie.style
・共同研究事例:https://www.viestyle.co.jp/news/category/business/

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